「まいにちフランス語」応用編が新しく始まりました。
17世紀の思想家ラ・ブリュイエールに続き、
初回は、18世紀の大貴族サン=シモンが書いた『回想録』からの抜粋です。
タイトルは、
「ルイ大王の死」
ルイ大王とは、もちろんルイ14世。
ヴェルサイユ宮殿を築き、「L’état, c’est moi(朕は国家なり)」と
口にしたという絶対王政の象徴です。
たぶん多くの人が思い浮かべるのは、
巨大なカツラをかぶり、豪華な帽子と青いローブをまとい、白いタイツ姿で立っている、
あの有名な肖像画でしょう。
そんな「太陽王(ルイ14世)」が亡くなった時、人々はどう反応したのか。
回想録は、とても冷静に、その光景を描いていました。
圧政に苦しんでいた民衆は、歓喜した。
一方で、
王の恩恵を受け、私腹を肥やしていた貴族や裕福な商人たちは、
自分たちが失ったものの大きさに愕然とする。
ものすごい対比です。
権力者が一人いなくなっただけで、
人の本音が、ここまできれいに分かれてしまう。
サン=シモンは、そんな人たち「人間のクズと呼んでいい奴ら」と、容赦なく皮肉ります。
その「クズども」の中には、「徴税請負業者」まで含まれていました。
……税金を集める人って、いつの時代も恨まれるんですね(笑)。
そして、思わず笑ってしまったのが、その辛辣な表現です。
la canaille
意味は、「人間のクズども。ならずもの」。
ものすごくきつい言葉です。
でも、音だけ聞くと不思議なくらい上品。
なんなら、日本のオシャレなショップにありそうな名前。
フランス語って、こういうところがあるんですよね。
響きは優雅なのに、意味は容赦ない(笑)。
ルイ14世といえば。
昔、『ルイ14世の死』という映画を観たことがあります。
豪華な宮殿。
重苦しい空気。ひたすら暗い。
そして、ゆっくり近づいてくる王の死‥。
「太陽王」と呼ばれた人物でさえ、死から逃れられない。
そんな静かな映画でした。
当時はただ「豪華で暗い映画だなあ」という印象でしたが、
今回、このテキストを読んで、
あの映画は、この回想録を参考にしていたんだと初めて知りました。
それで。
ふと、映画の中の、ある奇妙な場面が思い浮かんだんです。
瀕死の床に伏しているルイ14世は、巨大なカツラと帽子をかぶって、
見舞いに訪れた貴族たちに、優雅に帽子をとって挨拶をする。
すると、周りの貴族たちは、拍手し、なんなら涙を浮かべる人も。
みた時は、ものすごくシュールで笑えてしまったのですが‥。
宮廷社会においては、
「王はまだ生きている」
「王はまだ王である」
という象徴的な意味と、王の最期の威厳のリアリティさを描いていたんですね。
この回想録で、映画の理解が少し深くなったような気がしました。
でも、この回想録を書いたサン=シモン自身も、大貴族なんですよね。
つまり、自分と同じ階級の人たちを、皮肉っている。
その構図自体が、一番の皮肉‥( ̄∀ ̄)
さて。
今回のレッスンから、朗読も始まりました。
クロエ先生は、
「恥ずかしがらずに私の真似をしてくださいね!」
とおっしゃってました。
全部の意味は、まだちゃんと理解できていません。
それでも、耳で聞いて、そのまま真似をして読んでいます。
……もう、完全に耳コピですよ(笑)。
でも、こうやって少しずつ音を真似していくのも、
フランス語を楽しむ方法の一つなのかもしれません。

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