NHKラジオ講座「まいにちフランス語」で、読んだラ・ブリュイエールのテキストは、
『Le fleuriste(花を愛でる人)』。今週は最後のオチがありました。
前回は。
花愛好家の貴族は郊外に庭園を持っていて、
朝になると庭へ駆け出していき、チューリップの前に立ち続け、眺めている。
‥そんな、現代の園芸好きと同じような行動をしている。
先週と今週で、その花愛好家の貴族の話が続きます。
花愛好家は、自分の郊外の庭園で、様々なチューリップを見て回ります。
品種名もなかなか凝っています。
「オリエンタル」
「ドラドール(黄金の布)」
「アガット(めのう)」
チューリップの花の色が想像できるような美しい名前の数々。
そして、
「ヴーヴ(夫に先立たれた女)」
……なんでその名前にしたん?なんて、思わずツッコんでしまう(笑)。
でも当時は、花の職業(花屋や庭師など)が出てきた時でもあり、
品種に詩的でおしゃれな名前を付けるのが流行していたそうです。
そういえば。最近、私が買ったビオラの品種名も、
「Clair de lune(月の光)」(黄色と紫のビオラでした。そして高いw)
でした。
クリスマスローズにも、美しい品種名がたくさんあります。
花の世界って、昔からロマンチックなんですね。
花愛好家はチューリップを見つめ続けます。

花びらも。がくも。色も。形も。
すべてが素晴らしい。
でも。
ラ・ブリュイエールは、そこで終わらせません。
チューリップを生み出した「自然」には目もくれず、チューリップ「しか」見てない。
おやあ?なんか雲行きが怪しくなってきたぞ。
そして、物語の最後。
花愛好家はこう思います。
「チューリップは、1000エキュ積まれても売らない」
ところが続けて、
「しかし流行がカーネーションに移ったら、この球根はただでくれてやる」
‥は?
この人、花が好きなんじゃなかったの?
でも違った。
彼が愛していたのはチューリップではなく、
価値のあるチューリップ。

もっと言えば、
みんなが価値があると言っているチューリップだったのです。
これ、現代にもよくある話ですよね。
ブランドバッグ。
高級時計。
限定品。
SNSで話題の商品。
最近では、
「将来高く売れるから」
という理由で買う人も珍しくありません。
もちろん、それ自体が悪いわけではない。
でも、
いつの間にか
「好きだから持つ」
より
「価値があるから持つ」
に変わってしまうことはある気がします。
先月、私はバラ園へ行きました。
たくさんの人がバラを見ていました。

でも私は、クレマチスばかり見てた。バラ園なのに(笑)。
ラ・ブリュイエールを読んでいて、ふと思ったのです。
私は本当にその花々が好きなのか。

それとも、
みんなが見ているから、映えるから、見ているだけなのか。
目に見える価値というのは、とてもわかりやすいです。
だから人は惹かれる。
300年以上前のチューリップバブルも、
現代のブランド品や流行も、同じなのかもね。
ラ・ブリュイエールは、花愛好家の貴族を描きながら、
そんな人間の姿を見つめていたのでした。


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