今週21日、22日の「まいにちフランス語」では、
ラ・ブリュイエールの『弱虫たち(Faibles hommes)』という文章を読んでいました。
冒頭から、いきなりこう始まります。
「Faibles hommes!」
——なんと人間は弱いのだろう。
かなり強い言葉です。
文章の内容は、
現代に置き換えると、ものすごく「あるある」でした。
例えば。
自分より立場の上の人が、あなた(vous)の友人についてこう言う。
「あいつ、本当に馬鹿だよな」
でも、あなたは内心、
「いいや、馬鹿じゃないよ」
と思っている。
けれど、
その場では口に出さなくていい。
胸の中で思っているだけでいい。
また別の場面では、
同じ人物が、別の友人について悪く言う。
でもあなたは、
その友人が以前、とても立派な振る舞いをしていたのを見たことがあった。
でもそれを、わざわざ反論しなくてもいい。
ただ、
「自分がその姿を見た」
という事実だけは、忘れないでいなさい。
——そんな内容でした。
これ、現代の職場でも普通にありますよね。
上司が同僚の悪口を言う。
しかも、
「な?お前もそう思うだろ?」
みたいな空気で。
あれ、
否定できる人って、どれくらいいるんだろう。
私自身、そんな場面に、何度も遭遇しました。
だから最初、
ラ・ブリュイエールの
「弱虫たち!」
という言葉を読んだ時、
「ああ、人間って本当に情けない、と、痛烈に批判してるのかな」
と思ったんです。
でも、
最後まで読むと、印象が変わりました。
彼は、
「立ち向かえ」
「反論しろ」
とは言わない。
むしろ、
「口に出さなくてもいい」
と言っている。
その代わり、
「君が見た“友人の良さ”だけは忘れるな」
と言う。
人間は弱い。
空気にも流される。
立場の強い人間に逆らえないこともある。
ラ・ブリュイエールは、たぶんそれをよく知って「見て」いたんでしょうね。
だからこそ、
「せめて、自分が見た真実まで捨てるな」と言っているように思えました。
そこに、
私は少しだけ、彼の人間に対する“愛”を感じた。

大声では言えず、空気には逆らえない時こそ、
自分が見た「事実」を手放さないようにしたいです。
初めて私が「弱虫たち」というテキストを読んだ時に書いた記事もどうぞ。
※テキスト内に「あえて〜する(oser +不定詞)」という語句が出ていて、ラ・ブリュイエールは「心の中だけでいいから、あえて自分の視点で考えろ」と書いてました。


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